黒魔術師をやめた。
つい昨日の話だ。俺の魔術に幅を利かせてくれる、創造性に刺激を与えてくれる人が去ろうとした。
俺は必要とされていないわけじゃない。必要とされなくてもいい。ただ、自分が感化される一輪の花が散るのは世界が白黒になるようなものだ。
黒魔術は今でも使える。でも、黒魔術を使う理由なんて元々ない。俺はなんのために黒魔術を使っていたのだろうか。現実を少しでも変えるために、ロマンを注入して充足されていたのだ。
俺はもう黒魔術なんて使う必要がない。何者でもなくなったのだから。
もう彼岸の時期。まさか対岸で自分を目にするとは思わなかった。さようなら、。